ある時、村にすむ仲良し3人組は、森の中に野草つみに大人たちと出かけました。 そして、野草を摘んだり遊んでいたりして、気づくと森の深いところにまで行っていて、 帰り道がわからなくなっていました。 周りは不気味に静かで、大人たちの気配はまるでありませんでした。 そこで三人組は、不思議な少女に出会いました。 だぶだぶの青いローブを着て、大きなつばのある大きな帽子をかぶり、 手に瞳ぐらいの小さな赤い宝石のついた杖を持っている。まるで魔法使いみたいな姿の少女に・・・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「こら!ティータ!いつまで寝てるんだ!さっさと起き!!」 どからがっしゃ〜ん! 2Fから騒々しい音が1Fの居間でお茶を飲んでいた二人の少年少女達に聞こえた。 「・・・・何の音だろうね?」と黒髪の少女が隣にいた金髪の少年に聞いた。 「またいつものようにティータのやつがお袋に起こされてるんだろ」 「それはわかるけど・・・でもいつもにまして派手ね・・・」 「今日は大人達と一緒に野草つみだからな。」 「昨日ちゃんと言っておいたいたはずだけど・・・またでしょうね・・」 「・・・だろうな・・あいつも『あの』癖だけはやめとけばいいのに・・」 「ほら!さっさと着替えなさい!!」 ど〜ん!! 「床・・・抜けないかな・・」 「いつものことだから大丈夫だろ」と、金髪の少年はお茶をすすりながら言った。 ここは森の中にある小さな静か(?)な村『シルバースター』 その村の10件ある民家のうちの一つ「アルフォンス家」 毎朝名物となっている騒々しい朝の目覚ましであるが、今日はいつもよりさらに騒々しい。 今日は一巡り(一週間)に一度の野草つみの日なのである。 このシルバースター村では、自給自足の生活が主で、狩りや木こりで生計を立ててる者が多いが 農地には向かないらしく農業をしている者はいない。 なので山に果実や野草を取りに行き、日々の糧や蓄え、さらにはそれによって生計を立ててる者も多い。 ただ、山には凶暴な動物などが生息するため、こうして一巡りに一度だけ村総出で野草つみに行くのである。 結構貴重な仕事なので、時間とか決まりとか厳守しなければいけないのだが・・・ 「うぅ・・・おはよう・・」 このように階段から下りてきた緑の髪の少年、ティータのように寝坊する者もいる。 この子は特別かな(^^; 「おいおい、また夜中に『あれ』をしてたのか?」 「別にいいだろ、ルドル。悪いことやってるんじゃないんだから」 「それで寝坊してたら十分悪い事じゃないの?今日は野草つみの日よ」 「わかってるよ。ミリー」 「わかってるならさっさと支度してきなさいよ。お父さん達が広場でしびれ切らしてるわよ」 金髪の少年はルドル、黒髪の少女はミリー、ともにティータの幼なじみである。 「あぁ・・もうちょっとねて・・いたたた!!いたい!って」 「寝ぼけたこと言ってないでさっさと支度しなさい!」 とティータの耳をつかんで引っ張り上げてるのがティータのお母さん「マリー=アルフォンス」 まるまると太っている『朝の名物』の一人で、本当は優しいお母さん。 太っているのは次の子がおなかの中にいるからなんだけどね(^^; 「俺達は先広場に行くぞ。早く来いよ」 「マリーおばさま、ごちそうさまでした☆」 「あぁ、お父さん達によろしくいっといてね。この子をすぐ支度させて行かせるから」 こうして、いつもと変わらない日常が始まる・・・はずでした・・ 広場では大人達が談笑をしたり武器やかごなどの道具を入念にチェックしていたりしました。 子供達は一巡りぶりに山にはいるのでみんなわいわいと落ちつきなく騒いでいます。 「よぉルドル、ティータはどうしたんだ?」その子供達の中でリーダー格のフェルトンが話しかけてきました。 「相変わらずだよ。って言うか聞こえてただろ。ここからでも」 「あぁ、ものすごい音だったぜ。しかしあのいえ、化け物なのか?毎朝あれで壊れないのは」 「よっぽど丈夫なんだろうな・・・・」「実はトールさんが夜な夜な直してたりして☆」 いつの間にかミリーまで話に加わってアルフォンス家の家の話に・・・ 「おい、ルドル、ティータはまだ起きねえのか?」その家の主「トール=アルフォンス」が聞いてきました 「あっ、おじさま、さっき起きてきたからあわてて準備してると思いますよ」 「ミリーちゃんありがとう。しかし俺が家を出るときも確か起きてきたはずだがな・・まったく後で折檻してやる!」 そうこうしているうちにティータもやって来て村総出での野草摘みに出かけました。 「おいティータ。いい加減に『あれ』、やめたらどうだ。どうせできっこないんだろ」 「うるさい!!まだ僕の力が足りないだけなんだよ・・・」 子供達はほとんど遊び気分。でも大人達は気を緩めることはできません。 ここはなれた森の中と言っても、危険と常に隣り合わせなことを知ってるからです。 なのに子供達をつれてくるのは、今のうちにその対処を覚えさせるためと・・効率の問題です。 人が多い方が早く終わって、危険にあう確率も減るからです。 ここ一年ほどは無事に終わっていますが・・・一年前には怪物に襲われたこともあるので気は抜けないのです そうこうしているうちにいつもの森の中の広場まで来ました。 「よし、じゃあみんな始めてくれ」村長の一声で野草つみの始まりです。 この広場を拠点にして、昼過ぎまで野草を集めて、一巡りの間ぶん集めるのです。 「おい、ティータ、ミリー。早く行こうぜ」 「ほらティータ、早くしないとルドルにおいて行かれるわよ」 「ちょっと待ってよ、二人とも早すぎるよ・・・」 まぁこども達もなれたもので思い思いのグループに分かれて野草を集め始めます。 大人達の目の届く範囲で集めるのですけど、時々目の届かないところにも行ってしまいます・・・ お昼ご飯の後、ルドル達は、近くにいい野草がなくなったので少し奥まで行きました。 「なあ、ルドル。こんなに奥までくると声が届かないんじゃないかな?」 「ティータも心配性だな。大丈夫だよ。いつものところから少し来ただけなんだから」 「でも・・・」 「ねぇ、あっちのほう行ってみない?向こうの方がたくさんありそうよ」 「おっ、ミリーよく見つけたな。ほら行くぞ」 「あっ、まってよ〜」 3人は森の奥深くまで行きました。そして空は薄暗くなってきてなにやら嵐が来そうな予感です・・ 「ねぇ・・・ちょっとまずいんじゃないかな・・・暗くなってきたし・・・・」 「そうだな、そろそろ・・・おっ、ほらあそこの木のそば。いっぱいあるぞ。あれをさっさと摘んで帰ろうぜ」 「早くしないと一雨来そうね・・・」 確かにこのあたりは人がこないのでかなり珍しい薬草まで生えていました。 「だいたいこんなものかな・・・親父達、こんな珍しいのみたらびっくりするぞ!」 「そうね。でも早く帰らないと、前よりかなり雲行き怪しいわよ」 「そうだな。おい、ティータ?なにしてるんだ?」 「これ、見たことないからなんだろうかな・・・って思って・・」 「持っていって後からゆっくり調べればいいだろ。少ないけどまだ少し生えてるんだから。 ほら、早く帰らないと怒られちまうぞ」 「わかったよ〜だから首もとつかまないでよ」 「(はぁ・・・ティータも相変わらずね・・・・)ところで、こっちから来たのよね?」 「来たときに木がこう見えたからそっちであってるはずだよ」 「本気で雲行き怪しいな・・・走って行くからティータ、遅れるなよ」 黒い雲、暗い森、怪しい道取り・・・三人は少し怖くなりながらも森の中を走って帰ろうとしました・・・けど・・ 「あれ?こんなところ通ったかな?」 「なに言ってるんだよ。さっき目印の木を見たばかりなんだからあってるはずだよ」 「逆に見てるから違う感じがするだけよ」 「そうかな・・・・こんなに暗かった?」 「空が暗いからでしょ。あっ!少し降ってきた!急ぐわよ」 ぽつりぽつり、雨まで降ってきました・・・ 森の広場では大人達がそろそろ帰る準備をし、子供達もルドル達をのぞいてみんな広場の小屋下で雨宿りをしていました。 雨はしとしととまるで不安げに降り注ぎます・・・ 「おい、ルドル達はいたか?」 「いや、さっぱりだ。返事もない」 「たく、あいつら・・・どこまで行ったんだ・・・」 「ティータやミリーがいるんだからそう奥までは行ってないだろ。 とりあえずフレッドとジニーとパミラ。おまえ達で子供達を村まで送っていってくれ。後の者は引き続き捜索してくれ。 まったくあいつらは・・・・」 夜の暗闇はまるでみんなの不安がつもるように、少しずつ忍び寄ってきます。 「おい、どうだ、見つかったか?」 「いやだめだ、こっちにもいない」 「こう暗くなると痕跡もなかなか見つけられんな・・・・」 「やむえんな・・・・いったん引き上げるか・・・」 「おい!まて!!まさかこのまま村に帰るんじゃないだろうな!!」 「一度体勢を立て直した方がいい。それにこう暗いと俺達まで・・」 「馬鹿!!なにを言うんだ!!子供らを見捨てるつもりか!!」 「待てテム、誰もあの3人を見捨てるなんて言っちゃいない。 ただこのまま闇雲に探してもかすかな痕跡を消すかもしれない。明日日が昇ってから探すんだ」 「だか・・しかし・・」 「もちろんここに人は残していく。あの三人のことだ。この広場に戻ってくるかもしれん。 テム、トール、ニキタ、ベア。4人でこんばんは小屋に泊まってくれないか?」 「「もちろんだ」」「しょうがあるまい」 「儂はこの3人の暴走を止めればいいんだな?」 「ああ、ベア、頼むぞ。二次遭難はさけたいからな」 かくもこんな事になってると知らない三人は・・・・ 「ちょっと〜暗くなってきたわよ」 「おかしいな・・・・こんなに遠かったかな?」 「道に迷ったに決まってるでしょ!!」(どげし! 「いたたたた・・・・・ミリーきついぞ・・」 「まったく・・・なにが木に目印を付けたよ・・・ティータ、あれ持ってるわよね?」 「うん・・・前にもこんな事があったからちゃんと持ってるよ」 「まぁこうゆう時にはティータの『あれ』も役に立つよな・・そのために発光石持ってるんだからな・・」 『発光石:水をかけると乾くまで少しの熱と光を出す石。ただし乾くと光を失うためランプより使い勝手は悪い』 「でも水がないよ?」 「俺の水袋の水を使えば・・・あっ、水をためる物がねえ・・・今日は帽子、かぶってないからな・・」 「馬鹿!どじ!しょうがないわね・・・何かないかしら・・・」 「あの・・・薄目の袋があるからこれに入れれば平気だよ」 「さすがティータ!用意がいいわね〜♪」 「この前買ったから。これだと洗面器に入れるより便利なんだもん」 「さすが『あれ』のためにはお金惜しまないのね・・・別に夜にしなくてもいいのに・・・」 「だって、昼間だと母さんに怒られるもん」 「まぁそうかもな・・・・とりあえず、それにさっさと発光石と水を入れるか。かなり暗くなってきたしな」 ルドルの言うようにもうかなり闇も深まってきました。